4-1-1 面記録密度
面記録密度は、色んな記録方式付加することによって少しは前進しているが、大幅な進展が見られていない。現在有力視されているHAMR(Heat Assisted Magnetic Recording)は、中々レーザー光の熱安定性から一部しか量産に投入されていなかったが、今回、ソニーのレーザーピックアップ(ナノフォトニックレーザー)を用いて、スポット径を小さくでき、容量アップし、更に媒体に超格子白金媒体(Fe-Pt)を用いて、格段に媒体の高抗磁力をアップし、さらに第7世代スピントロニクスリーダー、コントローラの組み合わせで容量アップする原動力になっている(2024年2月16日 日本経済新聞)。これは、昨年の11月の放送機器展(InterBEE)で展示されたSeagateからの説明で、問題は一応解決し、25TB、30TBなどが可能になったと聞かされていた。面記録密度は、各社とも発表されていないが、推定では現状で1.3Tbps2と思われる。また、MAMR(Magnetic Assisted Magnetic Recording)も研究開発が進められているが、高容量化の観点から見るとHAMRの方が、有利とみられている。図1には各種記録方式による面記録密度のトレンドを示す。
1965年(昭和40年)に三洋電機(株)に入社、約3カ月の向上実習を終えて、中央研究所に配属された。配属先は磁性材料の研究室で、将来のVTR用材料の開発をテーマとして、先ずは、多結晶でNi-Ziフェライト、Mn-Znフェライトを開発。この時、研究室で焼成炉まで自作した。そして初めてMn-Znフェライト多結晶とセンダストを組み合わせた複合型のビデオヘッドを開発し、工業用VTRに搭載、1970年の吹田の大阪万博に出展し、無事動作した。この時、サンヨー館で人間洗濯機が出されたのは、今でも語り草になっている。7年間の研究所での開発を終え、事業部へ移管し、3年間の量産試作の後に、事業化に成功している。その後、単結晶フェライトの開発やVコード、オープンリール型VTR、ベータVTR、VHS・VTR、8ミリビデオ用の磁気ヘッドを開発・生産導入を果たした。その間にVHS用ドラムの開発、8ミリドラムの開発も行い生産に導入している。また、高周波に対応するために単結晶フェライトのギャップ付近に金属(センダスト)を付着させたMIG(メタル・イン・ギャップ)も開発し、ちょうど1990年代は、まだHDDが50MBの時代だったので、MIGでHDD用ヘッドに参入、その後、MR(Magnetic Resistance)やGMR(Giant Magnetic Resistance)に参入している。HDD関連のヘッドになるとどちらかといえば、マーケティングを中心に、対外折衝が多くなった。途中、VTRを製造している事業部から部品専用の部品事業部へ変わり、磁気ヘッド外販事業にゼロかたら着手し、多いときで市場の60%のシェアを取ったこともある。幸いに、会社にいる間は、一つの専門分野を続けられたことが、リタイア後も外部との人間関係の構築ができ、現状の続いている要因になっています。特に、IDEMA JAPAN(HDD協会)の理事を2年間(途中で三洋が、HDDヘッドからの撤退)行い、さらに現状では理事待遇で、協賛会員として理事会にも現状でも参加しています。また会社にいる間に、多くの対外人脈ができたことは、リタイア後にも大きく影響しています。