電子クラブのOBと先生と力を合わせて取り組んだトランジスタ技術の記事
平成10年に大阪工業大学、電子工学科(当時)を卒業し電子クラブで副会長の役職をさせていただいております吉田誠と申します。
本年トランジスタ技術という雑誌の2026年4月号への原稿が掲載されました。
この記事は電子情報システム工学科の小池一歩先生、そして大阪工業大学の名誉教授であられる矢野満明先生にお力をお借りして、「半導体の動作を手に取るようにイメージできるように」をテーマに記事として仕上げました。そのお話をここで紹介させていただきたいと思います。
〇雑誌トランジスタ技術とは
トランジスタ技術という雑誌は電子クラブのメンバーの方であれば、大学や企業、図書館などで見かけられて、もしかするとご存じかもしれません。トランジスタ技術誌は東京オリンピックの開催された年の1964年10月に創刊され、現在まで多くの技術者などに読まれている技術雑誌で、アナログ電子回路、デジタル電子回路、制御工学、マイコン、半導体デバイスの応用技術など、特に実践的な技術の解説がされている月刊誌です。
特徴的なのは、特集記事と連載記事でその中身が別冊の本としてのちに出版されるなど内容も基礎から応用までとても質の高い記事が掲載されていることです。名を連ねている筆者の方々も日本のトップエンジニアもたくさんおられます。
〇若手エンジニアに向けた企画
恐縮にも出版社の方からこの本に記事を掲載していただけるとのことでお声をかけていただき、特に今回は4月号で、大学や高専などを卒業しエンジニアとして社会で活躍する若いエンジニア向けの特集への掲載として、半導体の動きを回路の動きとシンクロしながらイメージできるような企画にしたいといった内容のご依頼でした。
半導体というと、私には矢野先生や小池先生のイメージが強かったのですが、実は昔にトランジスタのVbeベース・エミッタ間電圧と、コレクタ電流Icの関係について、バンド図を使って理解したいと思い、矢野先生と小池先生に質問をメールしたことがありましたが、題材としては若いエンジニアにはこの内容がぴったりと思いつきました。また矢野先生は「増補改訂版 図説 電子デバイス(産業図書)」の著者の一人でもあり、この本は大学時代に吹き出し付きのわかりやすい解説でとてもお世話になった私にとってのなくてはならない一書でした。
〇学生時代のように矢野先生小池先生にお力をお借りする
ところで、トランジスタ技術は老舗の本であり、筆者だけでなく読者の方も一流の方が多くすこしでも間違ったことを書くわけにはいきませんし、そのように厳しい目で執筆していく必要があります。
前述の私が質問した半導体の基礎の内容は、確かにぴったりでしたが、私はアナログ電子回路設計ではいくつか記事を執筆したことがあるものの、半導体につてはまだまだ知識が浅いです。とはいえこの内容は初学者がいちどは理解したいと思えるような内容になるはずと確信していました。
そこで題材として前述の数年前に矢野先生に教えていただいたトランジスタの電流についての内容を基礎とし、矢野先生の著書や半導体の有名な文献を慎重に確認し照らし合わせながら、バンド図を使用した動作解説を書き、その内容をプロの矢野先生、小池先生に目を通して確認していただけないかお願いすることにしました。
小池先生、矢野先生のどちらもお忙しい中にもかかわらず、快く引き受けてくださり、原稿をレポートのように先生に報告・修正を続ける、学生生活の再現?が始まりました。
途中の添削は本当に学生時代を思い出すような厳粛な添削をいただくこともでき、心が引き締まる思いでした。
読者目線からはわかりやすい図にしつつ、正確性は保つというなかなかの難題でしたが、このような先生方の底力により何とか形にすることができました。
〇原稿提出と校正
そのようにして原稿がようやく完成し、出版社に原稿送付しました。
出版社に提出する原稿は本文と図ですが、原稿を提出すると、実はそこからが作業の中盤であり、ここからは編集者とより読者が理解しやすいようにするめの挿絵の修正や、本文の問い合わせ、細かい修正が始まります。
また、読者にイメージしやすいように幾度か追加の絵も必要になり原画を書いたり、コラムという関連した別記事の依頼に対して、追加で本文を書いたりと、しばらくは、日々これに追われる日が続きました。
この間も小池先生が出張中にもかかわらず、追加で質問をしたり、矢野先生に確認をとったりと、最後まで先生方に大変お世話になりつつ、ついに校了となり、印刷所へのデータ提出が行われました。結果トランジスタ技術2026年4月号として無事書店で発売してもらうことができました。
また、そのことは大学の電子情報システム工学科インスタグラムでも紹介していただきました。
最終原稿の一部は下記URLからご覧いただけます。
https://toragi.cqpub.co.jp/wp-content/uploads/2026-4-p135.pdf
〇電子クラブでの新しい取り組みとして
なお、今回の記事内容については内容的にも矢野先生への謝辞をぜひ記載していただきたいと小池先生と私で話し合い、出版社にお願いし今回の出版には謝辞も入れていただくことができました。
そして気が付けばD科の教員、OB、そして名誉教授の3名で一つの作品を仕上げるという電子クラブとして、おそらくこれまでにないとても貴重な取り組みをさせていただけていることになり、不思議な縁を感じております。
今回の体験をきっかけに、OBと大学、教員、学生との関係も今後はもっと近く、何かのかたちでともにチャレンジしていけるようなそんな関係に発展出来たらと、電子クラブの副会長としてもより一層決意させていただく機会となりました。
結びに、矢野名誉教授と小池先生には貴重な体験の機会をいただきました、本当にありがとうございました。また出版の機会をいただけたトランジスタ技術編集部の方々にも感謝いたします。
参考:
トランジスタ技術2026年4月号 CQ出版社
https://toragi.cqpub.co.jp/wp-content/uploads/2026-4-p135.pdf
トランジスタ技術とは CQ出版社
https://toragi.cqpub.co.jp/tabid/76/Default.html
図説 電子デバイス、菅 博・川畑 敬志・矢野 満明・田中 誠 (産業図書)
