2019年度卒業研究審査会が実施されました

以下のとおり、電子情報システム工学科の卒研審査報告会が実施されました

半導体ナノシステム研究室、ナノエレクトロニクス研究室、機能システムデバイス研究室
日時:2020年2月8日(土)11:00~15:40
場所:551教室

ソフトウェアシステム研究室、マルチメディア情報研究室、創作情報工学研究室
日時:2020年2月8日(土)12:30~
場所:552教室

情報通信研究室、波動情報システム研究室、通信システム研究室
日時:2020年2月12日(水)13:00~
場所:552教室

シミュレーション研究室、システム制御研究室
日時:2020年2月18日(火)13:00~
場所:641教室

レーザー研究室、光エレクトロニクス研究室、マイクロシステム研究室
(例年通り共同研究および特許の関係で外部非公開とする)
日時:2020年2月18日(火)13:00~
場所:551教室

S61年(1986年)卒のOB短信

第55次日本南極地域観測隊(JARE55) 越冬隊通信担当
久保田 弘 (KUBOTA Hiroshi)

 皆さま、はじめまして。

大阪工業大学工学部電子工学科を昭和61年に卒業した久保田弘と申します。
現在は、総務省近畿総合通信局で情報通信行政(ICT政策)の仕事をしています。

昭和基地・19広場にて
昭和基地・19広場にて

私は、平成25年11月から平成27年3月までの約1年4か月間、第55次日本南極地域観測隊(JARE55) 越冬隊通信担当として、南極・昭和基地に赴任しておりました。

このたび、OB短信執筆の御依頼をいただきましたので、その当時の体験を振り返ってみたいと存じます。

日本南極地域観測隊
日本南極地域観測隊

昭和基地は、日本からおよそ1万4千キロメートルも離れています。緯度経度で表すと南緯69度、東経40度付近に位置します。ちょうどサウジアラビアやエチオピアの真南に当たります。昭和基地時間は、日本時間よりも6時間遅れています。

 

昭和基地は南極大陸にあるのではなく、大陸から4キロメートルほど離れた「東オングル島」という東西約3キロメートル、南北約2キロメートルの小さな島にあります。

昭和基地は南半球にあるため、日本とは季節が逆です。いまは1月ですので、昭和基地の季節は真夏です。

昭和基地の平均気温は、8月が最も低くてマイナス20度ぐらいです。反対に最も高いのは1月ですが、それでもマイナス1度ぐらいです。12月頃から翌年2月頃にかけては最高気温が零度を超える日がありますので、降り積もった雪が少しずつ融けだします。

これまでに昭和基地で観測した最低気温は、マイナス45.3度です。ちなみに、昭和基地から約1,000キロメートル離れたところにあるドームふじ基地では、標高が3,810メートルもあるため、マイナス79.7度を観測したことがあります。湿度は一年を通じて低いのですが、厳冬期には特に乾燥しています。夕食後に洗濯した衣類を室内に干しておくと、翌朝にはすっかり乾いています。

人間の活動がほとんど行われない南極は、地球環境を正確に観測することができる地球上でも貴重な場所です。

南極を研究する科学者は、さまざまな自然現象を通して、地球環境の過去を知り、未来を予測しようとしています。

南極地域観測は、国際協力の下に日本国が実施する事業の一つです。

事業の遂行に当たっては、極地科学に関する研究や観測及び業務に関係する複数の機関が担当分野の責任を負い、文部科学省に置かれている南極地域観測統合推進本部が省庁横断的にそれらを統合推進する責任を負っています。

日本における南極地域観測は、昭和32年(1957年)に南極大陸リュツォ・ホルム湾にある東オングル島に昭和基地建設を決めて以来、60年以上にわたって実施されてきました。

また、世界的な観測網の拠点として、定常的な気象観測の継続実施やオゾンホールの発見、研究プロジェクトとしての月隕石・火星隕石を含む世界最多級の隕石の採取、氷床掘削で得た氷床コアの解析による過去数十万年にわたる気候変動の解明及び生態系や大気中の二酸化炭素量のモニタリングによる環境変動の研究など多くの観測研究の成果を上げています。

私が参加した第55次観測隊では、24名の越冬隊員が昭和基地の維持運営の任務に就いていました。

越冬隊員は、大きく観測系の隊員と設営系の隊員に分けることができます。観測系の隊員は、電離層や気象、地磁気、オーロラなどの各種観測を行っています。設営系の隊員は、通信のほか、機械、建築・土木、調理、医療、環境保全、庶務・情報発信などの業務を行っています。

隊員の選考は、出発する前年の11月頃から始まります。また、隊員は、主として関係機関や研究組織から推薦を受けた人のなかから書類審査、面接、健康判定などの選考によって選ばれます。隊員のなかでも、医療隊員や調理隊員などは、一般公募で選ばれています。

昭和基地無線局の通信卓
昭和基地無線局の通信卓

隊員に求められるものとしては、専門的な知識・経験を持った「その道のプロ」であることはもちろんですが、心身ともに健康で協調性があり、また、歴史ある国家事業に従事する観測隊員としての自覚と責任を持てることが重要です。

通信担当の主な仕事としては、無線通信の宰領、無線設備の保守、電報の取扱いなどがあります。

越冬隊には通信担当が一人しかいませんので、通信に関することは、全て私が責任を持って行わなければなりません。(ただし、LAN及びインテルサット衛星通信システムについては、専任の隊員が別にいます。)

特に無線設備が故障したときには、迅速な対応が求められますので、気が休まるときがありません。

また、限られた人数で基地を維持運営していかなければなりませんので、通信の仕事以外に除雪や建築・土木工事、車輌整備、各種観測の補助などの仕事も行います。さらに、風呂やトイレなどの共用部分の清掃、調理の補助、散髪なども交替で行っています。

昭和基地における通信には、(1)日本国内との通信、(2)野外観測チームとの通信、(3)基地及びその周辺における作業連絡用の通信、(4)南極観測船しらせや観測用ヘリコプターとの通信、(5)外国基地との通信などがあります。

インマルサット衛星通信システムの修理作業
インマルサット衛星通信システムの修理作業

通信する相手との距離や目的によって、HF(短波帯)無線、VHF(超短波帯)無線、UHF(極超短波帯)無線、インテルサット衛星通信システム、イリジウム衛星携帯電話などの無線設備を使い分けています。

第1次観測隊が昭和基地で越冬を開始して以来長い間、隊員が日本にいる家族と連絡をとる唯一の手段がモールス通信による電報でした。

これを大きく変えたのが、昭和56年(1981年)に第22次観測隊が持ち込んだインマルサット衛星通信システムでした。これによって、電話やファクシミリなどで、簡単に日本国内と連絡できるようになりました。

さらに、平成16年(2004年)に導入されたインテルサット衛星通信システムによって、インターネットの常時接続が可能になりました。現在の昭和基地では、インターネットは、仕事に、また家族との連絡に欠かすことのできない存在になっています。

私が昭和基地に到着した当初は、通信の内容を一言も聞き漏らすまいと非常に緊張して通信を行っておりましたが、越冬終盤近くになると、さすがに落ち着いて通信できる余裕が出てきました。人間の慣れとは恐ろしいものですね。

波帯送信機の定期点検作業
2kW短波帯送信機の定期点検作業

越冬中、無線設備の故障も相次ぎました。車載型・携帯型無線機をはじめインマルサット衛星通信設備、短波帯送信機、ロンビックアンテナなどの故障には相当悩まされました。しかし、苦労して修理できたときの感激はいまでも忘れることができません。

仕事以外では、野生のペンギンやアザラシとの遭遇、そしてオーロラ、白夜、極夜、ブリザードなど通常では滅多に体験できないことをたくさん体験することができました。

昭和基地での生活は、楽しいこともたくさんありましたが、その一方で辛いこと、しんどいこともたくさんありました。瞼(まぶた)を閉じれば一つ一つの出来事がまるで走馬灯のようによみがえってきます。

ユーモラスなアデリーペンギン
ユーモラスなアデリーペンギン

大きな怪我や病気をすることもなく無事に任務を遂行できましたのも、ひとえに国内で支えていただきました多くの皆さまのおかげです。お陰さまで、第54次観測隊から託された通信隊員の襷(たすき)をなんとか第56次観測隊につなぐことができました。この場をお借りしてお礼申し上げます。本当にありがとうございました。

ウェッデルアザラシ
ウェッデルアザラシ

私は、これまで校友会活動にはあまり参加しておりませんでしたが、日本南極地域観測隊に参加したことが御縁となり、平成30年10月に常翔学園校友会(旧大阪工業大学学園校友会)関東支部と広島国際大学校友会関東支部とで構成する「東芳会」の第57回総会において、「日本の南極地域観測と南極通信事情 ~日本南極地域観測隊に参加して~」というテーマでお話させていただきました。

これからは、少しずつでも校友会活動に参加させていただきたいと存じますので、よろしくお願いいたします。

満天の星空とオーロラ
満天の星空とオーロラ

皆さまには、もっともっとお伝えしたいことがあるのですが、OB短信では十分にお伝えすることができません。国立極地研究所のWebサイトに「南極観測のホームページ」があります。興味のある方は、是非御覧になってみてください。南極観測のことをより詳しく知っていただけることでしょう。

国立極地研究所 南極観測のホームページ
https://www.nipr.ac.jp/jare/

第10回(電子情報システム工学科に、上野未貴先生が着任しました)

 はじめまして.この 4月に電子情報システム工学科という新学科名
称に変わる節目に着任致しました上野と申します.今回 OB の皆様へ
の記事を書く機会をいただき,恐縮ながらも嬉しく思っております.
周囲の皆さまから本学科のことを少しずつ教えていただきながら学ぶ
ことの多い日々を過ごしております.
 私は創作情報工学研究室という研究室を開きました.人工知能の分
野において,漫画や小説などの創作物は人がどのように状況や時系列
的な情報を捉えているかを定量化することに役立つと考えています.
私は人がストーリーをどのように創り出しているのかを定量的に解析
・生成して迫りたいと考え,またストーリーを生み出す人を支援した
いと考えています.具体的には,感情識別や順序識別などストーリー
に関わる問題を定義し,画像と言語からなる大規模データを構築し,
機械学習手法を実装し解析する,という流れで研究を進めております.
本学科は広範な分野が融合しており,ソフトもハードも学べることが
魅力的で,現所属の方から研究や開発のきっかけを拝聴することを興
味深く感じております.
 皆さまはどんなきっかけでこの分野に入られましたか.私はあるハ
ードの中に技術が凝縮されていることに興味があり,一続きで完成し
た電子製品を集めることが好きです.コンピュータやインターネット
を個人で少しずつ利用できるようになった頃が幼少期にあたり, 各
種コンピュータゲーム,特に,人の思考や行動を何らかの形で定量化
している,経営シミュレーションゲームに夢中になりました.ハード
もソフトも,今ほどには汎用的なものが少なかった頃,各社が趣向を
凝らした電子玩具や製品が出るたびに,どのようにできているのか興
味をもちました.家族と電気屋さんに行くことが楽しみでした.自分
でも何か創ってみたいと感じ,小学生の高学年以降に,コンピュータ
一つで,Web ページやソフトウェアを創ることができることに魅了さ
れました.そして,本を読むこと,物を書くことが大好きだったこと
が融合し,この世界に出会いました.
 本学科に着任して,電子を起点として生まれた数々の情報やシステ
ムのつながりの恩恵を受け,分野が継続的に発展し続けていることを
再度身に沁みて感じます.自身が興味を持つきっかけの基盤を創った
先駆者たちの生み出したものを辿って,各時代の夢を知りながら,非
常に今,速度が速い分野で新たに描けるものを探し続けられることを
嬉しく思います.現在の所属にて教職員や在学生の方たちに教わり教
える大学という環境で,教員として,新たなことに出会い学べる喜び
を感じています.
 今,ここから出て各所でご活躍されている皆さまとお話する機会を
もつことができることを楽しみにしております.

 電子情報システム工学科 上野 未貴

          「創造情報工学研究室」

          https://www.oit.ac.jp/laboratory/room/348

2019年度電子クラブ事業計画

2019年度 電子クラブ事業計画

4月25日(木)  キャリアデザインⅠでの新入生への説明
5月24日(金   第1回幹事会の開催
6月28日(金)  工大校友会と各科同窓会との連絡会
7月上旬      メールニュースの発行
9月11日(水)  就職セミナーと相談会,第2回幹事会の開催
10月26日(土) ホームカミングデー参加
1月上旬      メールニュースの発行
1月24日(金)  工大校友会と各科同窓会との連絡会
2月17日(月)  修士学位論文公聴会副賞授与
2月中旬      JABEE外部評価委員会への委員の派遣
3月13日(金)  第3回幹事会の開催
3月20日(金)  電子情報通信工学科卒業レセプション出席,堀内賞表彰