今回 OB の皆様への母校探訪の記事を書く機会をいただきました,廣芝です.この母校探訪は,前回の記事が2020年の新4号館が竣工,その前が2019年の上野先生の着任ということで, 4年ほどあいてしまっていました.私が着任したのは2021年4月で,母校探訪の記事では,本来は新任の教員が着任のごあいさつをする意味もあるようです.しかし,私が着任したときは新型コロナ禍のまっただ中で,それどころではなかったというのが正直なところでしょうか? 私はといえば, 2022年,2023年度に電子クラブの会計も務めさせていただきましたので,すでに私のことをよく知っているという幹事も複数おられ今更という気は致しますが,どうぞよろしくお願いいたします.
さて,この4年間で学科の構成員も随分と入れ替わりました.私は,矢野先生の退職に伴って半導体デバイス分野の教員として着任しました.専門はフレキシブルデバイス,有機半導体,酸化物半導体などの電気電子材料になります.私が着任してから小寺先生,西口先生,淀先生,上野先生の4名が退職され,私の着任以降に新たに5名の先生が着任されました.学科の顔が約半数入れ替わり,雰囲気も大きく変わりました.私が着任したときからD科でもクラス担任制が導入され,きめ細やかな指導が行き届くような体制に変わりました.1年生で私のクラスで入学してきた学生もすでに4年生になっており,その一部は卒研生として私の研究室に所属しています.時の流れはとても早いものです.最近の学生は,子供のころからスマホやタブレットが比較的普及していた世代ですので電子工作や,回路に興味があるという学生は減っており,プログラムや情報系の志向が強いように思います.ましてや電子工作や回路で使う素子を半導体材料から作る研究というのは,なかなか興味が持ちづらい分野でもあります.コロナの期間で幸いしたのは,世間をにぎわした「半導体不足」という言葉で,「半導体」はなんだか大事.「半導体」のことを知っていると将来役に立つかも.「半導体」のことがもっと知りたい!という稀有な学生さんが,たまたま何年か続けて私の研究室を選んでくれましたので,興味を持って研究に取り組んでくれています.研究のほうも徐々に軌道に乗って, 昨年度M1(現M2)の楯凱貴くんが電気学会で技術委員会奨励賞を頂けるという幸運にめぐまれるなど,徐々に進んでおります.また,昨年度はB4の北村太慈くんが「トランジスタ技術」という雑誌に人力飛行機の電装部門の活動成果が3月連続で記事として掲載されました.これは,電子クラブの幹事であり学科の非常勤講師も務めていただいている吉田誠先生のご指導ご助言もあり,大変良い記事と好評のようです.
一方で学科の仕事に目を向けますと,今年度からキャリア支援担当として,企業の方々と面談をする機会も多くなりました.どの企業の方も,人材確保に苦慮されている様子がうかがえ,あの手この手で学生に興味を持ってもらえるようなインターンシップや,イベント,会社説明などに工夫を凝らされているのがうかがえます.超氷河期といわれた2000年代に大学生であった私からすれば隔世の感があります.半面,学科の入り口に目を向けますと一時期の情報系人気に陰りが見えてきている気がしてなりません.電子情報システム工学科の担う分野は広範ですが,如何に興味を持ってもらえるか,いかに選んでもらえる学科となるべく魅力を高めていくか,だんだんと課題が浮き彫りになりつつある気もしています.
このような時代だからこそ本学科のOB・OGとしてご活躍されている皆さまと交流を持てる電子クラブという組織での交流が今後重要となっていくのではないかと思っております.今後ともよろしくお願いいたします
電子情報システム工学科 廣芝伸哉
研究室HP: https://hiro48n.wixsite.com/hiroshiba-lab/